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帯状疱疹について
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる病気です。このウイルスは、子供の頃に水ぼうそうにかかるか、ワクチン接種をされた後に体内に潜伏します。そして、特に体調が優れない時や免疫力が低下した時に、再び活動、増殖しはじめます。ウイルスは神経の流れに沿って皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹が出る帯状疱疹を発症します。
症状の特徴
痛み(神経痛)
帯状疱疹の症状には個人差がありますが、まだ発疹が出ていない時期からしびれや痒み、ピリピリやズキズキするような痛みを感じます。頭部では頭痛として自覚する場合もあります。また、人によっては仕事や家事に集中できない、眠れないような強い痛みを感じ、重症化すると入院治療が必要になる場合もあります。
皮膚症状
皮膚症状は主に体の左右のどちらか一方に、神経の流れに沿って帯状に現れます。水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れ、3~4週間ほど続きます。
その他の症状
重症化した場合、水ぶくれが全身に拡大したり、発熱や頭痛などの全身症状が現れることがあります。また、顔面の帯状疱疹の場合は難聴や顔面麻痺、失明などを引き起こすことがあります。
診断と治療
帯状疱疹は、帯状に分布する水ぶくれを伴う赤い発疹と強い痛みから臨床的に診断されます。治療の中心はウィルスの増殖を抑える抗ウィルス薬と、鎮痛剤による疼痛コントロールです。帯状疱疹は特に早期の治療が重要で、発症後72時間以内に抗ウイルス薬の投与を開始することが望ましいとされており、帯状疱疹を疑ったら出来るだけ早くクリニックにお越し下さい。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹ワクチンとは
帯状疱疹ワクチンとは、帯状疱疹の発症予防や重症化予防のために開発されたワクチンです。
帯状疱疹発症前にワクチンを接種しておくことで、発症リスクを大幅に下げる事が可能です。また、万が一帯状疱疹にかかったとしても、重症化を予防する効果も期待できます。
帯状疱疹ワクチンの種類と接種対象者
帯状疱疹ワクチンには、弱毒生水痘ワクチンとシングリックスの2種類があります。
弱毒生水痘ワクチンは生きたウィルスを弱毒化した生ワクチンであるのに対して、シングリックスはウィルス表面のタンパク質を抗原とした不活化ワクチンである点が異なります。
どちらのワクチンも、50歳以上の方が対象となります。
接種を受けられる方は一般のワクチンと同様ですが、弱毒生水痘ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中の方、免疫が低下する薬剤や基礎疾患をお持ちの方は投与できません。
帯状疱疹ワクチンの接種方法とその効果
弱毒生水痘ワクチンは1回の皮下注射、シングリックスは2回の筋肉内注射(1回目から2回目は2か月の間隔を空ける)を行います。
弱毒生水痘ワクチンの効果は1年後に6割、5年後に4割程度なのに対して、シングリックスは1年後に9割以上、5年後に9割程度、10年後に7割程度となり、シングリックスの方が効果が高く、持続期間も長いです。
帯状疱疹ワクチンの副反応は
下記に表で示しますが、シングリックスは注射部位の痛み・赤み・腫れ、注射部位以外の筋肉痛・疲労・頭痛・悪寒・発熱・胃腸症状の頻度が高いことが報告されており、弱毒生水痘ワクチンよりも副反応は多くなります。
副反応の発現割合 | 弱毒生水痘ワクチン | シングリックス |
70%以上 | なし | 注射部の痛み |
30%以上 | 注射部の赤み | 注射部の赤み、筋肉痛、疲労 |
10%以上 | 注射部の痒み、熱感、 腫脹、痛み、しこり |
頭痛、悪寒、発熱、 胃腸症状、注射部位の腫脹 |
1%以上 | 発疹、倦怠感 | 注射部位の掻痒感、倦怠感、 その他の疼痛 |
帯状疱疹ワクチンの費用
令和7年4月1日より、過去に帯状疱疹ワクチンを1度も接種されたことがない方を対象として、大阪市の接種費用の一部助成が開始となりました。
今年の4月2日から来年4月1日までの期間に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方では、1回あたりの自己負担額が弱毒生水痘ワクチンで4500円、シングリックスで11000円となります。
それ以外の年齢の方でも接種費用は自己負担となりますが接種可能で、弱毒生水痘ワクチンで8800円、シングリックスで22000円となります。
ワクチン接種の予約方法
帯状疱疹ワクチンの接種には、事前の予約が必要です。お電話(06-6692-1212)での予約か、当院にかかられている患者さんは受診時に接種希望の旨をお伝え下さい(Web予約は不可となります)。
なお、体調不良などによる日時変更は可能ですが、ご予約後のキャンセルはできませんので、ご了承ください。
潤皮ふ科では、弱毒生水痘ワクチン、シングリックスのどちらも接種可能です。どちらのワクチンを接種するか悩まれている方は、気軽にご相談ください。
ヘルペス(単純ヘルペス:単純疱疹)について
単純ヘルペス(単純疱疹)とは
単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされる感染症です。このウイルスには主に2つのタイプがあり、HSV-1は主に口唇周辺(上半身)、HSV-2は主に陰部周辺(下半身)に影響を及ぼします。感染後、ウイルスは体内に潜伏し、ストレスや疲労、風邪などで体力が落ちた時や免疫力低下・免疫抑制状態の時に、再発を繰り返します。
症状の特徴
皮膚症状
口唇や陰部周辺に、水ぶくれを伴う赤い斑点が集まって発生します。これらは皮膚の違和感や痛みを伴うことが多いです。
その他の症状
再発時には、発疹の出現前に皮膚の違和感や痛みを感じることがあります。また、初回感染時には全身の発熱や倦怠感、皮膚や粘膜の広い範囲の発疹が生じるもあります。
診断と治療
単純ヘルペスは、皮膚症状と自覚症状をもとに診断されます。治療では、抗ウイルス薬の内服や外用が使用され、単純ヘルペスウィルスの増殖を抑制します。症状出現後、早期に治療を開始することが重要とされています。
PIT(事前に飲み薬を備える治療法)
最近、毎年複数回の再発を繰り返す口唇、性器ヘルペスの患者さんで、PITという事前に飲み薬を備える治療法が保険適用になりました。これは、ムズムズやチクチク感などの前駆症状が出た段階で、患者さん自身の判断ですぐに内服薬を服用します。これにより水ぶくれや痛みなどの皮膚症状を軽減したり、治るまでの期間を短くすることが可能です。繰り返す口唇、性器ヘルペスでお悩みの患者様は、一度ご相談下さい。
予防と注意点
予防
単純ヘルペスは接触感染するため、発疹がある間は他人との接触を避けることが予防に繋がります。
注意点
単純ヘルペスの症状が出ている時は水疱内にウイルスが存在しますので、患部を触らない、患部で他人と接触しないことが大事です。