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- 尋常性白斑について ~症状・原因から当院での治療法まで~
はじめに
尋常性白斑は、皮膚の色素を作る細胞が減少または消失することで、肌が部分的に白くなってしまう後天性の疾患です。
痛みや痒みなどの身体的な症状はありませんが、顔や手足などの人目に触れる場所に現れやすいため、心理的なストレスを感じやすい疾患です。命に関わる病気ではなく、他の人に感染する心配も一切ありません。
このページでは、「病院に行くべきか迷っている」「どんな治療があるのか知りたい」という方に向けて、現時点で分かっていることと当院での診療の考え方をまとめました。
尋常性白斑の治験について
当院では、現在、尋常性白斑の治験にご参加いただける方を募集しています。詳細についてはこちらをご確認いただき、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
尋常性白斑とはどのような病気か

尋常性白斑は、皮膚の色を作るメラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で働かなくなり、皮膚の一部の色が抜けてしまう病気です。一般的に「白なまず」と呼ばれることもあります。
人口のおよそ0.5〜1%程度にみられるとされ、後天的に生じる脱色素性の皮膚疾患の中では最も頻度が高いものの一つです。発症に男女差はなく、10代から30代で発症することが多いとされています。
原因について分かっていること
はっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、現在最も有力なのは自己免疫的な機序です。何らかのきっかけで自分自身の免疫細胞がメラノサイトを攻撃してしまい、色素を作れなくなると考えられています。非分節型の尋常性白斑では、甲状腺の病気や円形脱毛症などの自己免疫疾患を合併する方が一定数いることも分かっています。
また、家族内での発症がみられることや、一卵性双生児での発症一致率が高いことから、遺伝的な要因も関与していると考えられています。
尋常性白斑の病気のタイプと経過
尋常性白斑は大きく、体の左右どちらか一方に沿って生じやすい「分節型」と、体のあちこちに左右対称性にできやすい「非分節型」に分けられます。また、それ以外に、どちらにも分類できない「分類不能型」もあります。
経過の観点からは、白斑が新たに増えたり広がったりしている「進行期」、状態が落ち着いている「非進行期(安定期)」、色が戻ってくる「回復期」といった段階があります。 ご自身の白斑が今どの段階にあるのかを見極めることは、治療方針を決めるうえでとても重要です。
進行期の尋常性白斑の特徴
進行期の尋常性白斑の特徴としては、下記のような所見が挙げられます。
・白斑のフチがクッキリせず、ぼやけている。
・肌色、薄い白、完全な白の3色のグラデーションになっている。
・白斑のフチがわずかに赤くなったり、かゆみを感じたりする。
・下着のこすれや傷跡など、刺激を受けた場所が新しく白くなってきた。
・白斑の周囲に、粉雪のような細かい白い点が増えてきた。
これらの変化がみられる場合は、病気が活動している(進行期にある)サインとされています。心当たりのある方は自己判断で様子を見ず、早めにご相談いただくことをお勧めします。
診断の流れ
診断では、まず問診でいつ頃から症状があるか、家族に同じような症状の方がいないか、他のアレルギー疾患や自己免疫疾患がないかなどを詳しくお伺いします。その上で視診による病変部の観察や血液検査などを行い、他の色素異常を起こす病気との見極めを行います。白斑に似た症状を示す病気は複数あるため、専門的な診断が欠かせません。
尋常性白斑の治療について

尋常性白斑の治療は、白斑のタイプ・広がり・進行の程度、そして患者さんご自身がどのような治療を希望されるかを踏まえて、一人ひとりに合わせて検討します。
尋常性白斑に対する外用療法としては、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏が広く使われています。また、最近、欧米ではJAK阻害薬外用剤が新しい選択肢として注目されていますが、保険適応の関係で、現時点では日本で使うことは難しい状況です。
尋常性白斑に対する光線療法としては、ナローバンドUVBやエキシマライトによる紫外線治療が広く行われており、色素の回復を促す効果が期待されています。当院ではエキシプレックス308®(ターゲット型エキシマライト)を導入しており、局所に強い光を照射できるので短時間で照射でき、かつ病変部位のみに高い治療効果が見込めます。
進行が比較的速い場合には、短期間のステロイド投与(ミニパルス療法)が行われることがあります。また、外用療法や光線療法で十分な効果が得られず、長期間症状が安定している限局した白斑に対しては、自家培養表皮移植などの外科的治療が選択肢になることもあります。これらの治療は院内で行うのは難しいため、地域の基幹病院をご紹介させて頂きます。
なお治療は根気強く続ける必要があり、効果の現れ方には個人差があります。3〜6か月ごとに経過を評価しながら、治療方針を一緒に見直していくことが大切です。
治療の安全性について
光線療法(ナローバンドUVBやエキシマライト)については、現時点では皮膚がんのリスクを明らかに高めるものではないというのが国際的にも共有されている見解です。一方で、非常に長期間に渡って高頻度に照射を行うと日光角化症などのリスクがやや高まるとの報告もあるため、当院では治療回数の上限を意識しながら計画的に進めています。
カバーメイクについて
尋常性白斑の治療は、外用薬や紫外線治療などにより色素の回復を目指すことが基本ですが、効果が現れるまでには時間がかかることも少なくありません。その間、患部の見た目を目立たなくする方法として、カバーメイクを取り入れることも一つの選択肢です。
カバーメイクには、ファンデーションタイプの製品(カバーマーク®など)と、皮膚の角層に色をなじませるタイプの着色料(ダドレス®など)があり、それぞれ特徴が異なります。
ファンデーションタイプは当日からしっかりとカバーできる一方、毎日塗り直す必要があります。角層に着色するタイプは、一度色がなじむと数日間は洗顔や入浴をしても色落ちしにくく、忙しい方や毎日のケアの負担を減らしたい方に向いています。
日常生活で気をつけたいこと
・紫外線対策…白斑のある部分はメラニン色素がなく、日焼けによるダメージを受けやすい状態です。日焼け止め(SPF30以上推奨)や衣服での紫外線対策をお勧めしています。
・皮膚への刺激を避ける…皮膚をこすったり傷つけたりする刺激が新たな白斑のきっかけになることがあるため(ケブネル現象)、衣服のこすれ、ナイロンタオルでのゴシゴシ洗いなどは避けて下さい。
クリニックからのメッセージ
尋常性白斑は、痛みがなく「ただ肌が白くなるだけ」であるため、受診のタイミングを迷われる方が多くいらっしゃいます。しかし、発症してからの期間が短いほど、治療の効果が出やすい(色素が再生しやすい)という特徴があります。
特に、短期間で白斑が広がっている場合は、病気が現在進行形で進んでいるサイン(進行期)です。この時期に適切な治療(外用薬や光線療法など)を早期に行うことで、拡大を食い止められる可能性が格段に高まります。「これくらいで受診してもいいのかな」と悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。
このHPは日本皮膚科学会「尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025」(日皮会誌135巻3号)の内容を参考に作成しました。 潤皮ふ科 院長 原田 潤』



