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水虫(足白癬・爪白癬・体部/股部白癬)

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水虫(足白癬・爪白癬・体部/股部白癬)について

皮膚真菌症とは、カビの一種である真菌が皮膚や爪に感染して起こる病気の総称です。いわゆる水虫(足白癬)や爪水虫(爪白癬)のほか、体やおまたにできる体部白癬・股部白癬、カンジダ症、癜風(でんぷう)、マラセチア毛包炎など、原因となる菌や症状の現れ方によっていくつかの種類に分けられます。

 

 このページでは、特に夏場に患者が増加する足白癬(足水虫)、爪白癬(爪水虫)、体部白癬・股部白癬(たむし・いんきんたむし)について、症状や治療の考え方をわかりやすくご説明します。似た症状の皮膚病も多いため、気になる症状がある方は自己判断で市販薬を使用する前に、一度当院にご相談ください。

 なお、下記の内容は主に日本皮膚科学会「皮膚真菌症診療ガイドライン 2025 」(日皮会誌135巻13号)を参考にしてまとめました。Q&A形式となっておりますので、患者様に必要なところ、気になるところをご覧頂けたら幸いです。 

 

医療法人潤皮ふ科 院長 原田 潤

足白癬(足水虫)

Q1、足白癬とは何ですか?

・足白癬(あしはくせん)は、いわゆる「足の水虫」のことです。白癬菌(皮膚糸状菌)というカビの仲間が足の皮膚に感染することで起こります。

・日本皮膚科学会・日本医真菌学会の全国調査では、日本人の5人に1人前後が足白癬にかかっていると推計されており、皮膚科では非常にありふれた病気です。新たに皮膚科を受診される患者さんの約1割は、この足白癬が原因ともいわれています。

・「汚くしているから水虫になる」と思われがちですが、そうではありません。白癬菌に触れる機会が多い環境や、なりやすい体質の方もいますので、恥ずかしいことではなく、他の感染症と同じように、正しく治療すべき病気です。

Q2、足白癬の症状について教えてください。

・足白癬の症状は、大きく3つのタイプに分けられます。ご自身の症状と見比べてみてください。

①趾間型(しかんがた)

・もっともよく見られるタイプです。足の指の間(とくに小指の付け根あたり)が赤くなったり、ふやけて皮がむけたりし、かゆみを伴うことが多いのが特徴です。

・かき壊すと皮膚に傷ができ、そこから細菌の二次感染を起こして、痛みや腫れにつながることもあります。

②小水疱型(しょうすいほうがた)

・土踏まずや足の縁、足指の付け根あたりに、小さな水ぶくれ(水疱)が多発するタイプです。かゆみを伴うことが多く、水疱が乾燥すると皮がむけてきます。

・梅雨の時期に悪化し、秋になると症状が落ち着く傾向があるため、「季節性の肌荒れ」と誤解されることもあります。

③角化型(かくかがた)

 ・足の裏やかかとの皮膚全体が厚く、ガサガサに硬くなるタイプです。

 ・かゆみはほとんどないため、水虫だと気づかれにくく、「乾燥肌」「かかとのひび割れ」として市販の保湿剤や軽石だけで様子を見てしまう方も少なくありません。冬場に亀裂が入り、痛みが出てから受診される方も多いタイプです。

 ・外用薬だけでは治りにくく、内服薬による治療が必要になることもあります。

Q3、足白癬の原因・感染経路は?

・足白癬の原因は、白癬菌という水虫を引き起こすカビの一種です。感染している人の皮膚から剥がれ落ちた角質に白癬菌が含まれており、家庭内ではバスマットやスリッパ、床材の共用を通じて、家庭外ではプールの床や公衆浴場の脱衣所、フィットネスジムなどの共用スペースを介して足に付着します。

・菌が付着してもすぐに感染するわけではなく、靴や靴下の中が蒸れて足が長時間湿った状態が続くと、菌が皮膚の中に入り込みやすくなり感染が成立します。

・家族に水虫の方がいる場合や、素足で公共の施設を利用する機会が多い方は、感染のリスクが高くなります。

Q4、足白癬の診断方法は?

・足の症状すべてが水虫とは限りません。汗疱状湿疹や接触皮膚炎など、見た目が似ていても白癬菌とは関係のない病気であることも多く、専門医が診察しても、見た目だけで正確に診断することは困難です。
・当院では、皮膚の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を直接確認する検査(KOH直接鏡検)を行ったうえで治療方針を決定します。
・「水虫の薬を塗っても治らない」場合、そもそも足白癬ではない病気であったり、水虫の薬自体による「かぶれ」(接触皮膚炎)が起きていたりすることもあります。自己判断で市販薬を使い続ける前に、まずは検査で診断をつけることが大切です。

Q5、足白癬の治療は?

・多くの場合、抗真菌薬の外用薬(ラミシールクリーム®、ニゾラールクリーム®など)を1日1回、根気よく塗り続けることが治療の基本です。
・白癬菌(水虫菌)は見た目の症状がなくても潜んでいます。両足の裏を中心に広く隙間なく塗るのが理想的です。足の指の間・背面、爪の周り、足の側面、アキレス腱の周囲なども忘れずに、主治医の指示に従って正しく塗りましょう。
・また、見た目の症状が治まっても皮膚の中に菌が残っていることが多く、自己判断で早期に中断すると再発しやすいため、足がきれいになってからも最低2か月はお薬を塗り続けることが大切です。
・なお、治療中に赤み・水ぶくれ・かゆみの悪化などが見られた場合は、薬による「かぶれ」の可能性がありますので、自己判断で中止・変更せずご相談ください。
・また、足の爪に白く濁った部分や厚みがある場合は、爪白癬を合併している可能性がありますので、あわせてご相談ください。

Q6. 市販の水虫薬は病院でもらう薬とどこが違うのですか?

・市販薬にも病院で処方する薬と同じ主成分が使われているものが多くありますが、かゆみ止めなどの成分も配合されているため、かぶれを起こす頻度がやや高い傾向があります。

・また、保険が適用されないため高価になりやすく、症状のある部分だけに使うなど不十分な治療で終わってしまうこともあります。

・似た症状の皮膚病との見分けも必要なため、まずは皮膚科を受診して診断を受けることをおすすめします。

Q.7 足白癬にならないようにするにはどうしたらよいですか?

・ご家族に水虫の方がいる場合は、その方の治療をしっかり行うことが最も効果的な予防法です。

・スリッパや足拭きマットの共用を避けることに加え、通気性の良い靴や靴下を選ぶことも予防に役立ちます。足を清潔にし、よく乾燥させることを心がけましょう。

Q.8 足白癬にならないための足のケアは?

・白癬菌が皮膚について感染が成立するまでには、通常24時間以上(皮膚に傷がある場合は12時間程度)かかるとされています。

・外出先やご家庭で菌に触れる機会があっても、その日のうちに足をよく洗い、指の間まで丁寧に乾かす習慣が予防に役立ちます。

・ただし、ゴシゴシこすりすぎると皮膚が傷つき、かえって感染しやすくなるため、石けんをよく泡立てて優しく洗うようにしてください。

Q9. 足白癬にならないための部屋のケアは?

・ご家族に水虫の方がいる場合、白癬菌は家の中のさまざまな場所に残っていることがあります。

・タオルやマットはこまめに洗濯し、洗えないものは濡れた布で拭いてよく乾かしましょう。床もこまめに掃除機がけや水拭きをして清潔に保つことが効果的です。

Q.10 足白癬が命に関わることはありますか?

・白癬菌そのものが原因で命に関わることは、通常はありません。ただし、指の間にひび割れやただれができた状態を放置すると、そこから細菌が入り込み、蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの感染症を引き起こすことがあります。

・まれに重症化することもあるため、特に糖尿病をお持ちの方は、足白癬を早めに治療しておくことが大切です。

爪白癬(爪水虫)

Q1、爪白癬とは何ですか?

・爪白癬(つめはくせん)は、いわゆる「爪の水虫」のことです。水虫の原因となる白癬菌(皮膚糸状菌)というカビの仲間が、足の爪に感染することで起こります。

・多くの場合、足の指の間や裏にできる足白癬(いわゆる水虫)を治療せずに放置しているうちに、白癬菌が爪の中にまで入り込んで発症します。

・日本皮膚科学会・日本医真菌学会の全国調査では、日本人の10人に1人前後が爪白癬にかかっていると推計されており、決して珍しい病気ではありません。とくに高齢の方に多く見られます。

Q2、爪白癬の症状は?

・爪白癬になると、次のような変化が見られます。
①爪が白色や黄色に濁って見える
②爪が厚くなる(肥厚する)
③爪がもろく、ボロボロと崩れやすくなる
④爪の表面がでこぼこする
⑤爪の先端が浮き上がる
・痛みやかゆみがほとんどないため、「見た目が悪いだけ」と放置されがちですが、進行すると爪が変形して靴が履きにくくなったり、周囲の皮膚や他の爪、さらにはご家族へ感染を広げてしまう原因にもなります。

Q3、爪白癬が日常生活に与える影響は?

・爪白癬は命に関わる病気ではありませんが、治療せずに放置すると、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼします。

①自分や家族へ白癬菌をうつしてしまう
・治療しないまま爪白癬を放置すると、爪の中に白癬菌がすみ続け、いわば菌の「貯蔵庫」のような状態になります。
・そこから足の裏や指の間へ、さらには家庭内の他の方へと、白癬菌がうつり続けてしまいます。
・白癬患者さんご自身の治療を行うことが、もっとも効果的な家族内感染の予防法です。

②足白癬(水虫)を繰り返す原因になる
・爪白癬を放置していると、そこから足の皮膚に何度も白癬菌が供給される状態が続くため、足白癬(水虫)を治療してもすぐに再燃してしまうことがあります。
・「毎年同じ時期に足の水虫がぶり返す」という方は、実は爪の中に原因が隠れているケースも少なくありません。

③爪の変形・肥厚による日常生活への影響
・爪白癬が進行すると爪が厚く変形するため、靴に爪が当たって痛い、歩きにくい、靴選びが難しくなるといった支障が出ることがあります。
・また、爪が崩れやすくなることで、靴下や布団などに引っかかる、見た目が気になって素足になりにくいなど、日常のちょっとした場面での気がかりにつながることもあります。

Q4、爪白癬の診断方法は?

・見た目だけで爪白癬とほかの爪の病気(爪の変形や乾癬など)を見分けるのは、専門医でも困難です。当院では、爪の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を直接確認する検査(KOH直接鏡検)を行ったうえで治療方針を決定します。必要に応じて、迅速に判定できる抗原検査キットなどを併用することもあります。
・自己判断で市販薬を使う前に、まずは検査で診断をつけることが大切です。他の病気を白癬と誤って治療してしまったり、逆に治療が長引いてしまったりすることを防ぐためです。

Q5、爪白癬の治療は?

・爪白癬の治療は、大きく分けて「飲み薬(内服抗真菌薬)」と「塗り薬(外用抗真菌薬)」の2つがあります。

①飲み薬(内服薬)…ラミシール®、ネイリン®、イトリゾール®

・爪の奥深くまで薬の成分を届けることができるため、爪白癬の治癒率が高く、多くの方に第一選択として推奨されています。内服薬が使用できる方には、まず内服薬でしっかり治療することが基本とされています。

・一定期間の内服が必要で、採血にて肝機能などを確認しながら治療を進めます。他に服用中のお薬がある方は、飲み合わせの確認が必要な場合がありますので、お薬手帳をご持参ください。

②塗り薬(外用薬)…クレナフィン®、ルコナック®

・爪専用の塗り薬も選択肢の一つです。肝臓の機能に不安がある方、他のお薬との飲み合わせが心配な方、症状が軽い方などに用いられます。

・内服薬に比べると効果が現れるまでに長く時間がかかりますが、副作用のリスクが低く、内服が難しい方でも治療を受けていただけます。

③治療期間の目安

・爪は伸びるのに時間がかかるため、健康な爪に生え変わるまで最低で半年、長い方だと1年以上、根気強く治療を続ける必要があります。

・自己判断で途中でやめてしまうと再発しやすくなりますので、医師の指示があるまで治療を継続することが大切です。

Q6、爪白癬治療での注意事項は?

・自己判断で市販の水虫薬だけで済ませず、まずは当院にご相談ください。

・足の爪だけでなく、足の指の間や裏の水虫(足白癬)も一緒に治療することが再発防止につながります。

・ご家族に水虫の方がいる場合、バスマットやスリッパの共用を避けましょう。

・治療中も定期的な通院で経過を確認することが、治療の成功につながります。

・爪白癬は自然に治ることはほとんどなく、放置すると症状が進行したり、周囲に感染を広げたりする可能性があります。「爪の色や形がおかしいけれど、痛くないから」と様子を見ている方も、一度当院にご相談ください。

体部白癬・股部白癬(たむし・いんきんたむし)

Q1、体部白癬・股部白癬とは何ですか?

・体部白癬(たいぶはくせん)は、いわゆる「たむし」のことで、顔や体幹、手足など、うぶ毛の生えている皮膚に白癬菌(皮膚糸状菌)というカビの仲間が感染することで起こります。
・そのうち、太もものつけ根や陰部周辺(鼠径部)にできるものは特に股部白癬(こぶはくせん)「いんきんたむし」と呼ばれます。
・体部白癬・股部白癬は、日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同の診療ガイドラインでも、足白癬・爪白癬に次いで頻度の高い白癬として位置づけられています。 
・「たむし」「いんきん」という言葉から古い病気のように思われがちですが、現在でも皮膚科で日常的に診療している、ありふれた皮膚感染症です。

Q2、体部白癬・股部白癬の特徴は?

・体部白癬・股部白癬の特徴は、円形〜楕円形に広がる、境界のはっきりした赤い発疹です。

①輪のような形に赤みが広がり、外側の縁がやや盛り上がって皮がむける
②中心部はやや色が薄く、治りかけているように見える(実際には中心部にも菌が残っていることがあります)
③かゆみを伴うことが多い
④股部白癬の場合、鼠径部(脚のつけ根)を中心に左右対称に近い形で赤みが広がりやすい

・こうした特徴的な輪状の発疹は、湿疹や汗疹(あせも)などほかの皮膚病とも似ていることが多いです。

・市販のステロイド外用薬を自己判断で塗ってしまうと、一時的にかゆみや赤みが治まったように見えても、白癬菌自体は生き残ってかえって病巣が広がってしまうことがあります。見た目だけで自己判断せず、皮膚科での診断をおすすめします。

Q3、体部白癬・股部白癬はどうしてうつるのですか?

・自分自身の足白癬・爪白癬から広がる:もっとも多い感染経路です。水虫のある足を触った手で体をかいたり、湯上がりに同じタオルで体を拭いたりすることで、自分の体の別の部位にうつってしまいます

・人からうつる:白癬菌を持つ方との皮膚の接触や、衣類・タオルの共用などによって感染することがあります

・動物からうつる:ペットのウサギやげっ歯類、猫などから人に感染する白癬菌も報告されています。ペットに脱毛や皮膚の異常がある場合は、動物病院での確認もあわせておすすめします

・格闘技を通じて感染する:柔道やレスリングなど、皮膚が密着する格闘技の選手間で集団感染を起こすことが知られている白癬菌(トリコフィトン・トンスランス)もあります。部活動やスポーツクラブなどで同様の発疹が広がっている場合は、早めの受診が大切です

・股部白癬は、汗をかきやすく蒸れやすい鼠径部という部位の性質上、高温多湿の季節や、体型的に皮膚同士がこすれ合いやすい方に生じやすいとされています。

Q4、体部白癬・股部白癬の診断方法は?

・体部白癬・股部白癬に似た発疹を起こす病気は、湿疹、乾癬、紅斑症など多岐にわたります。
・当院では、発疹の一部(鱗屑)を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を直接確認する検査(KOH直接鏡検)を行ったうえで診断・治療方針を決定します。

Q5、体部白癬・股部白癬の治療は?

・体部白癬・股部白癬の治療は、抗真菌薬の塗り薬(外用薬)が基本です。

①塗り薬(外用薬)…ラミシールクリーム®、ニゾラールクリーム®など

・患部だけでなく、目に見える発疹より少し広い範囲まで、指示された期間、根気よく塗り続けることが大切です。

・かゆみや赤みが治まったように見えても、白癬菌がまだ残っていることが多いため、自己判断で早めに塗るのをやめると再発の原因になります。皮膚がきれいになってからも、最低1か月はお薬を塗り続けることが大切です。

②飲み薬(内服薬)

 以下のような場合には、飲み薬(内服抗真菌薬)を選択、あるいは外用薬と併用することがあります。

・発疹が広範囲にわたる、または多発している場合

・背中など、ご自身では塗りにくい部位に病変がある場合

・股部や陰部など、塗り漏れが生じやすい複雑な部位に病変がある場合

・うぶ毛の中にまで菌が入り込んでいる場合

・外用薬だけでは十分に改善しない場合

Q6、体部白癬・股部白癬治療時の注意事項は?

・見た目が良くなっても自己判断で治療をやめず、医師の指示があるまで続けましょう。

・ステロイド外用薬の自己判断での使用は、症状を一時的に隠して悪化・拡大させる原因になるため避けてください。

・体部白癬・股部白癬のもとになっている足白癬・爪白癬がある場合は、そちらも一緒に治療することが再発予防につながります。

・タオルや衣類の共用は避け、入浴後は体をしっかり乾かしましょう。

・ペットに皮膚症状がある場合は、動物病院での相談もあわせてご検討ください。

・ご家族や身近な方に同じような発疹が見られる場合は、一緒に受診されることをおすすめします。

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